
講演する菅野さん |
■山形県長井市で95%が参加
菅野さんは、山形県長井市で養鶏業を営む一方、長井市の全世帯を対象に生ごみを回収、たい肥としてリサイクルする「レインボープラン」に取り組んでいます。
レインボープランは、1989年に検討を開始し、97年から運用をスタートしました。全世帯から生ごみを回収し、金属ごみなどを取り除いたあと、もみ殻や畜ふんを加えて2週間かけて発酵させたい肥化します。そのたい肥を使って地元の生産者が青果を栽培し、地元の小売店や学校給食などを通じて消費されるしくみです。
生ごみの集積所は、市内5千世帯を対象に227カ所で設置され、週2回収集されます。参加率は95%にのぼり、金属片などの混入も1日あたり80gとごくわずかだそうです。菅野さんは「化学肥料の投入が続いた圃場では、有機物不足が深刻になっています。その点、生ごみは有機質だけでなくミネラルの種類も豊かでたい肥の原料に適しています」と説明しました。
■資源循環で強いコミュニティ
たい肥は、安価で地元農家に提供され、生産物はレインボープラン商品として供給されます。化学肥料の多用で、野菜に含まれる栄養分は50年前に比べて著しく低下しているとの分析結果が表れています。こうしたなか、レインボープランのたい肥を使用することで、ミネラルなど栄養分が上昇しているそうです。
菅野さんは「野菜は土から養分を吸収して大きくなります。つまり、人間は土を食べているということです。土が弱ければ、それを食べる人間も弱くなります」と話しました。また、TPPについては「すでに崩壊寸前な農村への影響は、計り知れません。農家が誇りをもって生きられるよう、いいものを作り、地域で資源を循環させ、グローバル化に負けないコミュニティを形成すべきです」と述べました。
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