■独自の影響試算ではGDP減少

意見を述べる吉中理事長 |
TPP(環太平洋連携協定)は、工業製品や農産品、金融サービスなど加盟国の間で取引される品目にかかる関税や制度の格差を完全に撤廃しようとする多国間の協定です。社会の基盤、国の制度までを大きく変える危険性を持っています。農と食をつなぐ産直に長年取り組んできたパルシステムでは、TPPの交渉参加に反対しています。
シンポジウム「いまこそ考えよう!TPPと私たちの将来」は6月16日(日)、東京・文京区の東京大学小柴ホールでJA全中と全国農協青年組織協議会によって開催されました。
パネルディスカッションに参加した吉中理事長(パルシステム連合会パルシステム商品委員会委員長)は「国内で収穫される農作物が減少すれば、その農作物を加工していた施設が海外へ移り、流通、販売の機能も地域からなくなれば大きな雇用の問題となります。TPPは、農業だけの問題だけではありません」と発言しました。
このほか、シンポジウムでは東京大学大学院の鈴木宣弘教授が、政府によるTPPの影響試算を検証しました。政府発表では、TPP参加によってGDP0.66%(3.2兆円)増加するとの試算に対し、逆に0.1%(4,900億円)減少すると、鈴木教授は独自の試算を発表しました。「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」の試算でも、農林水産業や製造業、運輸業の雇用が190万人減少するなど、深刻な影響が発生する試算結果となりました。
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