■2012年から予約登録米に加わった『トキを育むお米』

トキを育むお米 |
パルシステムと佐渡の関係ができたのは2007年から。放鳥するトキのえさ場を確保するため、佐渡市の農家が有機農法・減農薬農法に着手したものの上手くいかず、パルシステムに協力を求めてきたのが始まりでした。2008年から『トキを育むお米』(エコ・佐渡こしひかり)として供給されているこの佐渡のお米は、2012年から予約登録米として扱われることになりました。
■生産者の努力だけでは上手くいかない生物多様性

研修会の様子 |
今回の研修会は、『トキを育むお米』の生産地、野浦・片野尾地区の生産者を対象に開かれました。この土地は小佐渡の東部に位置し、野生のトキが最後まで生育していた地でもあります。
研修会はまず初めに、パルシステム連合会の山本伸司理事長と佐渡市の甲斐元也市長の挨拶から始まりました。甲斐市長は「佐渡は本土と比べて農家の規模が小さいぶん、相当な努力をしています。それを消費者に伝え『佐渡の米は特別なんだ』と知ってほしいと思います。パルシステムの組合員とは、今後とも互恵関係を続けていきたいと考えます」と述べました。
続いて、パルシステム連合会産直推進部の高橋宏通部長が「パルシステムの産直事業と生物多様性の進め方やトキを育む運動」というテーマで講演しました。
生物多様性の農業について、高橋部長は「生物多様性は、生産者がどんなに環境に良い、生物にやさしいお米や農産物を作っても、消費者がその価値をきちんと受け止めて、一緒になって取り組まないとうまくいきません」と述べました。ほかにも、環境保全型農業の技術的な話や、6次産業化などについての説明に、生産者たちは熱心に耳を傾けていました。
■トキとの出会いに期待しつつ回ったほ場見学

美しい佐渡の棚田風景 |
2日目は、片野尾と野浦の圃場を視察しました。片野尾にある無農薬の田んぼとビオトープ見学では、水の環境が違うことから、田んぼとビオトープとでは、草の生え方や生えている草自体にも違いがあることなどが比較観察できました。
また、害虫を食べてくれるクモが多く生息していた農薬5割減の田んぼや、えさ場が多くトキの来る確立が高いと言われる野浦の田んぼを見て回りました。
美しい佐渡の自然の中で作られた、パルシステムの『トキを育むお米』は、トキの生息環境を保全する取り組み(ビオトープ作りなど)に対して、代金の一部が支援金として生産者に支払われます。2012年から予約登録米として扱われることになり、多くの組合員からの注文を受けたことで、今年度は前年の40tからすでに年間70tの受注に増えています。それにともない、新たに同じ棚田の地区の生産者を拡大していきます。
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