■TPPにおけるパルシステムの考え
TPP(環太平洋連携協定)は、工業製品や農産品、金融サービスなど加盟国の間で取引される品目について完全撤廃しようとする多国間の協定です。米国、豪州、チリ、ブルネイなどの9カ国が現在、参加を表明しており協議を続けています。
農と食をつなぐ産直に長年取り組んできたパルシステムでは、農林水産業をはじめ日本の産業構造全体に大きな影響をおよぼすものと考え、慎重かつ経済的側面だけでない複数の視点も踏まえた検討を他団体とともに強く政府へ要請しています。
■鹿野、古川両大臣らへ要請書を手渡しました

鹿野農水相(左)と懇談する坂本理事長(右奥) |
中央省庁などへの要請行動は4月6日(金)、高橋はるみ北海道知事をはじめ北海道議会、北海道町村会、JA北海道中央会、北海道農民連盟、北海道経済連合会、北海道生活協同組合連合会、北海道漁業協同組合連合会などの「オール北海道」による各代表者とともに実施しました。
また、要請行動には、山崎摩耶、山岡達丸衆議院議員、徳永エリ、小川勝也、相原久美子参議院議員にも同行してもらいました。
要請先は、経済産業省、外務省、農林水産省、民主党本部で、鹿野道彦農林水産大臣や古川元久国家戦略担当大臣などへ要請しました。パルシステムグループからは、パルシステム埼玉の坂本美春理事長(パルシステム連合会理事)が代表して要請書を手渡しました。
●政府・与党への要請先
訪問先 |
要請先 |
民主党 |
逢坂誠二陳情・要請対応本部副本部長
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経済産業省 |
牧野聖修副大臣 |
農林水産省 |
鹿野道彦大臣
町田勝弘事務次官
山田修路審議官
本川一善官房長
山下正行大臣官房統括審議官(国際)
角田豊大臣官房審議官(国際)
宮原章人大臣官房審議官(国際)
松島浩道大臣官房参事官(環境・国際)
坂井眞樹大臣官房国際部長
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内閣官房 |
古川元久国家戦略担当大臣 |
外務省 |
中野譲大臣政務官 |
●政府・与党へ提出した要請書全文
平成24年4月
TPP交渉への参加に反対し日本の「農林水産業」の再生を求める要請書
パルシステム生活協同組合連合会
私たちパルシステムグループは、国内産地との産直事業を通じて日本の農業と連携・協同しながら、食料自給率の向上を柱とした「100万人の食づくり」運動の展開など、さまざまな活動を行ってきました。
現在、日本政府はTPP協定交渉への参加を検討していますが、私たちは、これまで国民の合意がないまま、関税撤廃を原則とするTPP協定への参加を決して行わないよう、政府に要請してきました。
国内の農林水産業は、食料の安全保障、食の安全の確保、洪水の防止や国土・環境の保全といった多面的機能など、様々な役割や価値を有しています。仮にTPP協定に参加し、農林水産物の関税が撤廃された場合、日本の農林水産業はもとより、関連産業、地域社会が大きな打撃を被ることは避けられず、食料の安全保障や食の安全などに対して重大な影響を与えることが予測されます。
このようにTPP協定は大きな問題ですが、国民に対して十分な情報提供がなされておらず、交渉参加に向けて国民の理解を得られているとは言えません。また、日本の農林水産業が大きな打撃を受けることが必至であるにもかかわらず、具体的な施策も示されていません。さらに、農林水産分野以外の交渉分野の影響も明らかにされていません。
私たちは、TPP交渉への参加をめぐる議論が、食料安全保障や食の安全、国土・環境の保全などを含めて、国内農林水産業に対する我が国のあり方を全国民が考える契機と捉えるとともに、以下について強く要請します。
記
(1)日本政府のTPP交渉への参加及びTPP協定への日本の加盟に反対します。
(2)日本の「農林水産業」の再生を図る政策を進めてください。
1.食の安全(フードセキュリティ・セーフティの両面)を国の優先課題として位置づけてください。
2.農林水産業を通じた環境保全を国の優先課題として位置づけてください。
3.将来にわたって持続できる農林水産業を作り出す施策を講じてください。
以上
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