パルシステム連合会の取引産地生産者と生協、組合員でつくるパルシステム生産者・消費者協議会(141団体・代表幹事 香取政典佐原農産物供給センター常務理事/生消協)は3月8日(木)、東京都千代田区のサイエンスホールで、第23回通常総会とフォーラムを開催しました。パルシステムの産直産地の生産者、生協理事及び役職員など約400人が集まりました
■震災から1年を迎え活動を振り返りました
開会のあいさつをする香取代表 |
東日本大震災から一年を迎えた生消協の通常総会で、生消協の香取政典代表幹事(佐原農産物供給センター)は「被災地の畑や田んぼで働いているみなさんには、解決しなければならないことがいっぱいあります。農業者だけでなくパルシステムグループの消費者も含め『互いにがんばろう』ではなく、共に寄り添いながら助け合うことが必要です」と開会のあいさつをしました。
総会では、第1号議案「2011年度活動報告並びに決算報告・監査報告承認の件」、第2号議案「2012年度活動方針並びに予算案承認の件」などが、代議員の質疑応答を経て可決されました。
2012年度方針としては、以下が提示されました。
- 国内農業の重要性と必要性を積極的に訴え、震災復興、TPP、遺伝子組み換え食品、食料自給率、自然災害などの課題に向けて実践的に行動し、地域や農村社会の維持・発展に努めます
- 放射能低減を含め、環境保全型農業の技術向上と農業におけるエネルギー問題について考えます
- 産地の組織強化の「場」、農産加工品などの新たな取り組みに向けての「場」、作りを提起しながら、時代に合った産地作りを促進します
- パルシステム等で行う産地会議等と連携し、部会活動を進めます
- 生産者・組合員・職員の交流は、活動の原点と位置づけ、「意見交換」、「相互理解」、「学び合い」を主体的に取り組みます
- 時代の変化に対応した体制作りが必要と考え、新たな体制と運営について議論し提起します
■米国が引き起こした「グローバル・インバランス問題」
続いて開かれたフォーラムでは、元経済産業省官僚で現在京都大学大学院准教授の中野剛志氏が「TPP亡国論」と題し、日本のTPP参加がいかに無意味であるかを訴えました。
中野氏ははじめに、「TPPを理解するためには、アメリカの戦略を理解しなければなりません」と話し、米国の住宅バブルによる過剰消費が引き起こした「グローバル・インバランス問題」について説明しました。
2000年代、アメリカはほとんど生産も輸出もせず、過剰な輸入と消費をくり返し、これにより東アジアは潤っていました。このように、輸入に偏る国と輸出に偏る国が存在するといった貿易収支における国際的不均衡のことを「グローバル・インバランス問題」といいます。これこそがリーマンショックを経て、世界経済の混乱やリーマンショックの原因だと認識された世界共通のテーマでした。
この「グローバル・インバランス」を是正するために、アメリカは輸出倍増戦略を打ち出しましたが、TPPはこの戦略の一環です。
■米国に有利で、日本に不利な協定
京都大学大学院准教授の中野氏 |
TPPの交渉参加国に日本を加えたGDPシェアは、日米で90%以上を占めていますが、他は輸出依存度の高い国ばかりです。つまり、TPPにおいて日本の輸出先となり得るのは米国市場のみとなります。しかし、オバマ大統領は2011年11月、米国への輸出に依存した成長を拒否する演説を行いました。結局のところ「アメリカが日本の雇用を奪い、自国の雇用を増やすためのものです」と中野氏は話しました。
また、TPPの交渉に関して「日本は食の安全、農業の関税、医療など守るべきものがたくさんあるのに、得るものはありません。そんな交渉に参加してもルールを日本に有利に進めるのはほぼ不可能です」と述べました。
■TPP参加を止めるのに有効な手段は
質疑応答では「住宅バブルの崩壊でリーマンショック以前の経済連携や自由貿易が通用しなくなったが、新しいモデルはどういうものですか」、「TPPにどうしても参加したくないが、どういう手段が止めるのに有効なのか教えてください」などの質問が寄せられました。
これに対し中野氏は「今まではグローバル化に合わせて各国がそれに従っていましたが、国が内需を拡大して成長し、主が『国民経済』従が『グローバル化』という方向にすべきでしょう。参加をやめるには国会で否決するしかありません。グローバル化は何と矛盾し、何と対立するかというと民主主義です」と答えました。
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