●国際協同組合年の新春を寿(ことほ)ぎて
2011年に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故による大規模な被害に対しパルシステムは、被災者とともに祈り、復旧、復興へ活動してきました。
これまでの世界は、経済成長と金融を頂点とした金儲けの思想で染まっていました。しかし巨大化した大量生産、大量消費の社会は、自然の前にはかえって無力さをさらけ出し、むしろ被害を大きくしていきました。2011年は経済活動だけでなく、くらしの隅々まで反省させられた1年であったと認識しています。
東日本地域で大規模な節電が呼びかけられた春から夏にかけて、薄暗くなった首都圏の町並みのなかで、いままで電気を使いすぎていたことを痛切に感じました。もっと節電したい――。これからはエネルギーを必要以上に使わなくていいくらしを考えるべきです。
その考えが少数派でないことを示すのが、政府や電力事業者の予想をはるかに超えた夏の節電の実績だったのではないでしょうか。特に家庭での節電効果は大きく、一人ひとりの行動が大きな結果を残せることを証明しました。
原発事故は、電力事業者の責任追及だけに収束させてはいけません。私たちのくらし、私たちの事業のあり方を転換しなければならない必要性を感じています。パルシステムは、原発事故を決して他人事ととらえていません。以前から取り組んできた六ヶ所再処理工場の稼働停止を求める活動をはじめ、原子力発電を停止できなかった自らの責任もあると考えています。
2012年は、国連の定める国際協同組合年でもあります。あらためて私たち一人ひとりが組合員とともに世界の転換期にいることを認識し、自然と向き合い、生命を大切にした協同へと取り組みたいと気持ちを新たにしております。
国連の国際協同組合年に新春を寿(ことほ)ぎて。
パルシステム生活協同組合連合会
理事長 山本 伸司
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