パルシステムは設立当初から、韓国の生協と交流を深めています。2011年度は5月にicoop生協連合会の職員による物流研修に続き、理事研修を受け入れました。今回はパルシステムの地域での取り組みを視察しました。
■まずはパルシステムを表敬訪問

訪日団のみなさん |
到着翌日の29日(火)から視察を開始した訪問団は、東京・新宿区のパルシステム連合会の本部を訪問し、パルシステムの震災対応、放射能対応、地域での活動の状況、コミュニテイービジネス支援についてレクチャーを受けました。
次に中之郷信用組合(東京・墨田区)で「あったかいお金の回し方」と名付けられた地域に根ざす金融の取り組みについて説明を受けました。日本の生協の父といわれている賀川豊彦が設立にかかわっていることや、また地域柄、在日韓国人の利用も多いことなどが話されました。
その後、パルシステムが開講している実践起業塾の修了生が開いたコミュニテイーカフェ(cafeいと)を訪問。組合員が起業したコミュニテイービジネスの現場を視察しました。地域の人が気軽に集える場所にしたいとの思いで開設した空間に、訪日団のみなさんも「居心地がいいですね」とくつろいだようすでした。数日前に開業したばかりでしたが、それまでの苦労や家族や仲間の協力について実感のこもった話を聞くことができました。
■地域での取り組みの現場を視察

レストランサラの前にて |
30日(水)は、東京都立川市にあるNPO「高齢者の食と職を考えるチャンプルーの会」の活動を視察しました。チャンプルーの会では大きく3つの活動(レストランサラ、広場サラ、デイサービスサラ)を展開しています。
活動する立川市のけやき台団地は築40年を超え、高齢化が進むなかで地域の結びつきを作っています。配食では、実際に食事を届けているスタッフが「84才ですが、エレベーターのない団地でのお届けで足腰も鍛えられました」と自己紹介し、その若さに驚いていました。
午後は江東区へ移動し、パルシステム東京辰巳店とパルシステム東京「ぱるプラス@たつみ」の運営を受託し、辰巳地区で多世代交流事業に取り組んでいるNPOえんを訪問しました。
ここも築40年が経ち高齢化した辰巳団地で人のつながりをどのようにして維持していくか、努力しています。NPOえんでは、運営する「広場」で活動をしていた「イングリッシュカフェ」に飛び入り参加しました。英語で自己紹介をしながらメンバーのみなさんと交流し、思いがけない時間を過ごしました。
辰巳地区には100棟ほどの都営住宅があり、隣接する東雲・豊洲にはタワーマンションが立ち並んでいます。高齢者から子育て世代まで幅広く居住するエリアで、世代間の交流を育むことが地域課題の解決につながると考え、活動していることが説明されました。地元住民を講師に迎え、ヨガや茶道といったサークルもできており、着実に地域の交流の場となっている様子が理解できました。
■野田市では、子育て支援・福祉の取り組みの現場を視察

野田自然共生ファームの視察 |
12月1日(木)は野田市を訪れ、パルシステム千葉の取り組みについて見学しました。(株)野田自然共生ファームが活動する野田市江川地区は、宅地開発が凍結されて約65haの田畑が耕作放棄地となっています。そこで環境保全のために、野田市が条例を制定して市民農園や里山環境の保全などを通して積極的に農業と自然の共生地域づくり事業を行っています。
パルシステム千葉の組合員も田植えなどに参加しながら、地域の環境保全にかかわっています。里山環境の保全やビオトープの実践を通して希少動物が増えるといった効果が上がっているとの説明を受けました。
午後は、パルシステム千葉本部を訪問し、平野都代子理事長からパルシステム千葉の説明を受けました。野田市で店舗跡を活用した地域貢献などについて説明がありました。引き続き、その実践の場である現場を視察。NPO「ゆう&みい」を訪れ、子育て支援を通して地域貢献している活動を視察しました。
その後、パルシステム千葉の福祉事業の現場、「野田福祉館」を訪ねました。福祉館ではパルシステム千葉の福祉の理念などについて説明を受けながら、実際のサービスの提供の様子も見学しました。介護予防の視点を取り入れ、高齢者用の筋力トレーニングマンで有名な「パワーリハビリ」も導入し、できる限り介護が必要な状態にならないよう、健康・筋力維持を重視していることなどが話されました。
【参考】
訪問先情報
中ノ郷信用組合
コミュニティカフェ「cafeいと」
高齢社会の食と職を考えるチャンプルーの会
NPOえん
パルシステム東京の辰巳での取り組み
NPOえん (株)野田自然共生ファーム
NPOえん NPO ゆう&みい
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