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掲載日:2011年6月29日

役職員や生産者などが集まり「放射能学習会」を開催しました
安全な食品を提供するため182名が学びました
パルシステム連合会は6月22日(水)、東京・新宿区の東新宿本部にて「放射能学習会」を開催し、役職員や生産者、メーカーなど182名が参加しました。放射能が人体に与える影響や現状、農産物生産での対策について、正しい知識を学びました。

■人と自然が折り合って生きる社会へ

参加者も熱心に耳を傾けていました

 東日本大震災に伴う福島第一原発事故発生で、放射性物質が拡散する事態が発生しました。パルシステムでは、消費者、生産者がともに「食の安全」を優先する立場から、自主検査の実施やわかりやすい情報の提供などにできる限り取り組んできました。今後は、国が設定している暫定規制値に代わる自主基準の採用や検査機器の導入、政府への要請などについて、組合員、生産者がともに話し合いながら対策に取り組んでいく方針です。

こうしたなか、放射能や放射線物質に対する正しい知識を身につけることを目的にパルシステム連合会は6月22日(水)、東京・新宿区の東新宿本部で「放射能学習会」を開催しました。会場にはパルシステムグループ役職員のほか、生産者、メーカー職員など182名が参加しました。

 開会に際しパルシステム商品委員会の吉森弘子委員長(パルシステム東京理事長)は「原発事故が発生して以降『核に頼らない社会をつくろう』という認識が急速に広まっています。パルシステムがこれまで築いてきた産直のきずなを要に、人と自然が折り合って生きていく社会としていきましょう」とあいさつしました。

 続いてパルシステム連合会の原秀一常務執行役員が、震災発生後の放射線対策について報告。原英二商品コミュニケーション部次席スタッフから用語に関する基礎的な解説がありました。


■放射能汚染の現状と注意すべき情報とは

野口日本大学専任講師

 学習会は「放射能の健康影響、原発事故について」と「放射性物質の農産物への移行と対策について」の2部構成で行われました。第1部は日本大学歯学部の野口邦和専任講師が「放射能って怖いの?怖くないの?食品は大丈夫?」と題して講演しました。

 野口さんはまず、原発事故の概要を説明し「食品については10年単位できめ細かな監視が必要となるでしょう。事故自体も現状は収束したとはいえず、まだ1合目か2合目といったところです」と話しました。

 拡散した放射性物質については、新たな放射性物質の放出がない現状で半減期の短いヨウ素131の濃度が1千分の1程度まで低下しているため、中期的にはセシウム134、長期的にはセシウム137への注意が必要とのことでした。汚染水の流出による海洋については、ストロンチウムの数値も注視すべきだそうです。

 放射性物質を人体へ取り込まないためには「拡散当初叫ばれていた雨の影響はないといっていいでしょう。放射性物質は水溶性が高いため、心配なら野菜は細かく切ってしっかり洗うなどの対応が有効です」とアドバイスしました。

 質疑応答では「水が流入することで水田への影響が心配です」「なぜストロンチウムは海だけ気をつければいいのですか」などの質問が相次ぎました。野田さんは「今後も公開される検査データを見ていくことが重要です。データがなければ、政府や自治体に対し要求する必要があるのではないでしょうか」と話しました。


■土壌における放射能対策が紹介されました

谷山農環研コーディネーター

 第2部は、農業環境技術研究所(農環研)コーディネーターの谷山一郎さんを招き「より安全安心な農畜産物を供給するために」をテーマに話を聞きました。

 谷山さんが所属する農環研では、福島第一原発事故を受け自治体からの依頼で農産物と土壌の分析を開始しています。その結果も野口さんの話と同様、ストロンチウムの検出濃度はセシウムの1千分の1から1万分の1であり、問題ないそうです。

 農作物への放射能の移行は、葉や花への表面付着や気孔からの吸収、沈着した土壌から根を通した吸収(間接汚染)、根と茎の間にある基部からの吸収(混合型)の3ルートがあります。現状では放射性物質の大気放出がほとんどないため、今後は土壌からの吸収に気をつける必要があるそうです。

 また、土壌におけるセシウムは、固定態、置換態、水溶性の3形態があります。固定態は吸収されず置換態が吸収され、水溶性は濃度が低いそうです。地上に降りた放射性物質は、時間の経過で置換態が減って固定態が増えます。また耕起によって表面が希釈をされるとともに、置換態の率が減少し固定態が増えるとのことでした。

 放射性物質の濃度が高い土壌への対策としては、石灰やカリウム肥料散布、深耕、初期の作物除去、浅耕、表層をはいで深層に埋設することなどが挙げられます。ただしカリウム肥料散布については、日本の土壌に多くのカリウムが含まれるため、効果は少ないという説もあります。政府では、緊急調査研究の実施を計画しています。

 質疑応答では生産者を中心に「農場で被ばくする可能性はありますか」「除染の実験に参加できますか」など多くの質問が寄せられました。谷山さんは「現在は調査研究を進めている段階です。今後、対策への補助や土壌解析への支援といった制度が整うはずです」と説明しました。


■情報をわかりやすく届けることが必要

 閉会にあたりあいさつした齋藤文子新農業委員会委員長は「報道などでは情報があふれています。どう理解して判断するのか、ある程度整理できたのではないでしょうか。チェルノブイリ事故の際は、子どもも小さく不安だったのでいまの若い母親の気持ちがよくわかります。情報を早く組合員へ届け、わかりやすく提示していくことが必要です」と話しました。

 原常務執行役員は「放射能問題は、組合員と生産者が一緒に解決していかなければなりません。データをオープンにしながら議論することが重要です。放射性物質問題は長い時間がかかります。困難ですが今日を出発点として、なにをすべきか考えていきましょう」とまとめました。



【関連リンク】

東京電力福島第一原発事故による放射性物質の食品汚染の対応について

全国の生協の取り組みは以下をご覧ください。

日本生協連震災ポータルサイト





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