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掲載日:2011年2月3日

「2010年公開確認会報告会」「第18回農法研究会」を開催しました
生産者と消費者のさらなる連携を確認しました
パルシステム連合会は、1月19日(水)、東京・赤坂のグランドプリンスホテル赤坂(東京都千代田区紀尾井町)にて「2010年公開確認会報告会」および「第18回農法研究会」を開催しました。全国のパルシステムの生産者、組合員、職員が集まり、産直活動の報告を行いました。

会場の様子

 パルシステム連合会は、食料自給率の向上に向けて、有機農業や環境保全型農業の実現などを生産者と消費者が共に考えながらすすめています。取り組みの一環として、「公開確認会報告会」と「農法研究会」を毎年開催しています。パルシステムの産直産地の生産者と消費者である組合員が集まり、産地の取り組み共有と新たな農法の学習などを行う機会として継続し取り組んでいます。

 1月19日(水)には、グランドプリンスホテル赤坂にて「2010年公開確認会報告会」「第18回農法研究会」を開催しました。会場には、全国のパルシステムの生産者や組合員、職員など309名が集まり、活動報告発表などを行いました。


■産地と生協がそれぞれ報告「2010年公開確認会報告会」

あいさつする齋藤委員長

 食の安全の確保と、環境保全型農業の推進に向け、産地での栽培や生産履歴を生協組合員と生産者が共に公開の場で確認しあう「公開確認会」を1999年より行っています。

 この公開確認会は、商品が基準どおりに作られているか透明性を持って組合員に公表することにより、産直関係の絆をより強固なものにしてきました。また産地にとっては、内部の栽培管理体制を整え、農法のレベルアップを促す契機となるものです。

 産地を身近に感じてもらうため2010年度からは、会員生協主催による開催もスタートし、7生協が6産地で実施もしくは計画しています。

 開会に当たり、パルシステム連合会新農業委員会の齋藤文子委員長は「産直の確かさを“見える化”したのが公開確認会ですが、これまでは開催数も少なく、参加できる人が限られる側面もありました。今後は会員生協で主催するようになり、さらなる広がりを期待します。報告を通じて情報を共有、共感し、活動をさらに高めていきましょう」とあいさつしました。

 続いて、2010年に実施された7回の公開確認会について、それぞれの受け入れ産地と監査人として参加した生協組合員、職員から報告されました。(敬称略)


●ちば風土の会公開確認会(パルシステム連合会主催、対象品目:人参・ねぎ、開催日/1月22日、開催地/千葉県、参加者/158名)

有機栽培の野菜を対象に組合員が産地で確認 「ちば風土の会 公開確認会」を開催しました(2010年2月2日パルシステムニュース)

監査人報告者:パルシステム神奈川ゆめコープ 中島祥子

「有機栽培は『ほったらかしでいい』と誤解している人もいますが、そうではありません。『“商品”でなく“食べもの”を作っている』という姿勢に感動しました。今後も理解を深めたいと思います」

産地報告者:ちば風土の会 山下司郎

「事前準備では、有機農業を理解してもらうことや存在意義をあらためて確認することなどを目的に掲げました。公開確認会は、農業体験だけでなく生産者と組合員が納得するまで語り合う貴重な機会となりました。励ましの言葉も多くあり、感謝しています」


●紀ノ川農協公開確認会(パルシステム連合会主催、対象品目/いちじく・柑橘、開催日/2月19日、20日、開催地/和歌山県、参加者/96名)

2009年度唯一の果樹を対象とした公開確認会 「紀ノ川農協 公開確認会」を開催しました(2010年3月5日パルシステムニュース)

発表の様子(野菜くらぶ)

監査人報告者:ドゥコープ 佐藤節子

「出荷高の65%が生協との産直とのことで、独自に『生協産直事業規定』を策定していたり民主的な組織運営体制を築いていたりしており、感銘を受けました。高品質な農作物を生産する基準は、全国に広がってほしいと感じます」

産地報告者:紀ノ川農業協同組合 松本和弘

「開催中に環境保全型農業コンクールで大賞を受賞した一報があり、喜びを分かち合うことができたことが印象的です。監査での指摘を受けて現在、エコ・チャレンジ基準によるみかんを実験栽培しています。今後も議論を深め、産直当事者として勉強していきます」


●秋田南部圏協議会公開確認会(パルシステム連合会主催、対象品目/コア・フード米、開催日/6月30日、7月1日、開催地/秋田県、参加者/152名)

初めての産直協議会を対象とした公開確認会 「秋田南部圏協議会公開確認会」を開催しました(産直いきいきコミュニティ)

監査人報告者:パルシステム千葉 大坂美和

「専門的な項目もあり気を引き締めて監査に臨みました。監査では協議会の取り組みや、地域と連携することでコア・フード米の栽培を実現していること、交流を通じて生産者と消費者の相互理解を図っていること、厳しい品質管理体制を築いていることなどが分かりました」

産地報告者:JA秋田ふるさと 佐藤光広

「交流の機会が限られるなか、若手職員も積極的に参加し理解を深めることができました。指摘された声はなるべく取り入れていきます。『コア・フード米は価格が高い』との指摘もありましたが、栽培に要する資材費などもあり、その点は理解をいただきたく思います」


●フォレストファーム公開確認会(パルシステム山梨主催、対象品目/クレソン(コア・フード)、開催日/9月29日、開催地/山梨県、参加者/66名)

初めての地元会員生協主催公開確認会 「フォレストファーム公開確認会」を開催しました(産直いきいきコミュニティ)

監査人報告者:パルシステム山梨 学正典子

「栽培方法の説明では『自然に勝たない』との言葉が印象的でした。書類監査では栽培記録だけでなく交流記録までしっかり管理されていました。ただ、書類のなかに分かりにくい表記があり、改善したほうがいいと感じました」

産地報告者:フォレストファーム 中垣勝弘

「栽培方法の確認だけでなく、クレソンがさまざまな料理に使えることも伝えたいと考え、開催しました。パルシステムとは同じ思い、方向性を持っています。今後も一緒にがんばりたいです」


●有機農法ギルド公開確認会(パルシステム茨城主催、対象品目/水菜(コア・フード)、開催日/11月11日、開催地/茨城県、参加者/70名)

6次産業化に向けて取り組む産直産地 「有機農法ギルド公開確認会」を開催しました(産直いきいきコミュニティ)

監査人報告者:パルシステム茨城 兼清邦子

「受注量の都合から、せっかく栽培されているコア・フードがエコ・チャレンジとして供給されているそうです。また6次産業の一環として販売しているシフォンケーキはおいしく、お試し企画やセンター限定企画などを通じて支援する多様な仕組み、交流の機会を増やしていければいいと感じました」

産地報告者:有機農法ギルド 若栗亮

「安全性やおいしさ、環境への取り組みはもちろん、楽しめる農業を提案しました。今後はグリーンツーリズムなどで地域活性化につなげたいと思います。組合員と生産者の交流から密な関係性を築ければ、新しい農業がつくれることを再認識することができました」


●沃土会公開確認会(ドゥコープ・ユーアイコープ主催、対象品目/人参・カブ(エコ・チャレンジ)、開催日/11月20日、開催地/埼玉県、参加者/109名)

地産地消の期待が高まる沃土会 「沃土会公開確認会」を開催しました(産直いきいきコミュニティ)

監査人報告者:ドゥコープ 武田知苗

「沃土会の独自基準はエコ・チャレンジを上回るものです。そのうえで組合員との交流も積極的で、一過性になりがちな交流の広がりを感じました。課題は組織力が指摘されましたが『さっそく検討します』との力強い言葉で回答がありました」

産地報告者:沃土会 古川伸治

「いままでの交流があったからこそ充実した公開確認会とすることができました。所見にはよい点での指摘を多くもらえてほっとしています。1つひとつが財産となりました。生産者がつくってきた土は、パルシステムの財産でもあると感じます。今後も大切にしていきます」


●野菜くらぶ公開確認会(パルシステム群馬主催、対象品目/ほうれん草(コア・フード)、開催日/11月29日、開催地/群馬県、参加者/154名)

コア・フードほうれん草を対象に「野菜くらぶ公開確認会」を開催有機栽培や加工食品など「農業の新しいカタチ」に挑戦 (産直いきいきコミュニティ)

監査人報告者:パルシステム群馬 吉田澄子

「『農業とはほ場から口に入るまで』との言葉には、農業のイメージが変わりました。栽培自主基準の定期的な見直しやマニュアルの整備、独立支援プログラムなど、組織が機能している印象を受けています。交流も積極的で、これが日本の農業を支える基礎だと思えました」

産地報告者:野菜くらぶ 宮田徳彦

「多くのほめ言葉をもらうことができ、うれしいです。相手が見える関係をつくれれば、農業の未来は明るいと感じました。今後もより多くのきずなを強めていきたいです」


●「2010年度公開確認会のまとめと2011年度について」

パルシステム連合会食料農業政策室長 高橋宏通

「1999年度から始まった公開確認会は、開催を重ねるごとに食の安全・安心を超えた内容になってきました。講習を修了した監査人も3千名近くまで増えています。せっかく受講した監査人が気軽に参加できるよう、今年度からは会員生協主催で地元産地を中心に開催することを始めました。今後は産地からも手をあげてください」

最後に、パルシステム連合会の山本伸司常務執行役員が、「地域が豊かになるためには農業は不可欠です。報告を聞き、私たちのすべきことが示されたと感じました。食べる人と作る人をつなげる活動をさらに力を入れたいと考えます」と総評を述べ、報告会を終了しました。


■「農法研究会」では取り組みの成果と課題を発表

生消協・香取政典代表幹事

 後半の農法研究会はまず、生消協の香取政典代表幹事から「2010年から自由貿易体制への参加などが議論されていますが、それ以前に日本の農業や食料をどうすべきか考えなければなりません。それぞれの報告から新たな方針を見つけ、今後に生かしてください」と、あいさつがありました。

 来賓としてあいさつしたパルシステム連合会レインボー・パル基金の小谷悠子委員長(パルシステム茨城理事長)は「先日、スーパーにて安値で売られている野菜を見て、逆にパルシステムの産直生産者の顔が浮かんできました。輝く生産者と顔の見える関係をつくり、日本の農業を支える機会につなげてください」と期待しました。

 続いて、5つのテーマで研究報告がありました。(以下概要、敬称略)


●鶏卵「自給飼料の試み」 報告/神奈川中央養鶏協同組合・彦坂誠

  • 2009年から飼料米を与えたたまごの生産を始めている。
  • 飼料米の確保は、地元JA、中央会の反応がなく、関東農政局から産地を紹介された。
  • 今後の課題は成分分析などができておらず、米を与えたことへの検証を行いたい。
  • パルシステムの産直米生産者と話し合える機会がほしい。

●畜産「自給飼料および『おいしさ品質』の取り組み 報告/ポークランドグループ・豊下勝彦

  • 飼料に米を配合した「日本のこめ豚」を2008年から生産し、当初の2,500頭から2010年は18,000頭まで増やしている。
  • アニマルウェルフェアにも取り組み、床材におがくずとたい肥を混ぜたバイオベッドを敷いた開放型豚舎、放牧での飼育も開始している。既存のウインドレス豚舎は今後、すべてバイオベッド型に移行したい。
  • 畜ふんを活用した野菜の生産も開始しており、耕畜連携による資源循環に引き続き取り組んでいく。

●青果「『産直いきいき品質』鮮度向上の取り組み 報告/JAつくば市谷田部・小川保、サンファーム・堀口貞夫

  • 「産直いきいき品質」の開始で、生産者には収穫日や水分管理が課題となった。特にトマトやとうもろこしなどが難しく、通常産直品に比べてクレーム率が高くなっている。
  • 異常気象もあり、栽培管理は野菜、果樹とも難しい1年だった。今後も毎年“1年生”のつもりで生産していきたい。
  • 生産者の配送トラック同乗や産地研修の受け入れは、配達現場や組合員の声を知ることができ、大きな経験となっている。

●米「生物多様性の取り組み」 報告/JAささかみ・江口聡

  • 情報共有を目的とした3回のふーど米研究会開催とCOP10(生物多様性条約締結国会議)視察、「農のめぐみしらべ」などに取り組んだ。
  • 生産者の高齢化や米消費量低下、価格下落、自由貿易体制への参加など、米生産を取り巻く状況は多くの課題を抱えているが、生物多様性を育む水田を守る米生産の研究を続けることで「生きものを育む産直」をアピールし、理解を広げていきたい。

●消費者「いきいき品質・おいしさ品質の地域での取り組み 報告/パルシステム東京・廣川菊枝

  • 春は青果、秋は豚肉を対象に、組合員、職員とともに学習会を開催した。
  • 江戸川センターではバケツ稲の提供や小学校への出張授業を開始し、地域住民から好評を得ている。
  • 八王子センターは同じく小学校でソーセージ作りの体験学習会を開催し、好評だった。
  • 地域での活動が広がれば、それだけファンが生まれる。各会員生協で工夫を重ね、理解を広げたい。

 総評としてパルシステム連合会の若森資朗理事長は「緯度的に少雨なはずの日本に雨が降るのは、ヒマラヤ山脈で気流が蛇行しているためとも言われます。そうして恵まれた気候を享受し、日本人はこれまで里山などの自然を維持してきました。こうした忘れられつつある環境を守る活動は、生協に求められているのではないでしょうか。手を携え、未来へつなげていきましょう」と話しました。

 最後に、生産者を代表して山下勲夫生消協幹事から「生産者として作ればいいのではなく、いっしょに考えることの重要性を感じました。楽しく生きるための役割分担を果たしながら、みんなで支えあっていきましょう」と呼びかけ、今後の連携を確認しました。





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