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掲載日:2010年12月24日

「日本農業の未来を問う緊急集会」を開催
貿易自由化が叫ばれるなかあるべき食と農の関係とは
パルシステム連合会は12月17日(金)、東京・文京区の新大塚分室にて「日本農業の未来を問う緊急集会・食料貿易の実態を見極める!!」を開催しました。政府による貿易自由化の方針が議論されているなか、東京大学の鈴木宣弘教授を招き、日本における食と農のあり方を考えました。

■政府のTPP参加検討を受け緊急開催

多くの参加者を集めた緊急学習会

 「日本農業の未来を問う緊急集会・食料貿易の実態を見極める!!」は12月17日(金)、東京・文京区の新大塚分室にて開催され、パルシステム連合会や会員生協、取引先などから役職員89名が参加しました。

 開会に際しパルシステム連合会の山本伸司常務執行役員は「貿易の完全自由化が政府で検討されていますが、現状のまま実行されれば間違いなく日本の農業に大きな影響を与えます。第1次産業のない地域は崩壊するともいわれており、いまこそ生産者と生活者が意思を明確に取り組む必要があります。農業問題を考えるきっかけとしてください」とあいさつしました。


■鈴木東京大学大学院教授による講演

講演する鈴木教授

 講演は、東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木宣弘教授を招き「食と農の未来に向けて何をなすべきか」をテーマに、世界の貿易体制の現状と農業政策などについて学びました。

 まず鈴木教授は、政府が検討を開始したTPP(環太平洋経済連携協定)をはじめとする貿易自由化について触れ「関税ゼロへの対策を立てるには、相応の税金を投入しなければなりません。財政や納税者理解の現状を鑑みれば、実現はかなり難しいといわざるを得ません」と指摘。さらに「与える影響は食料自給率だけではなく、水田を活用しないことで防災や生物多様性の機能などが失われてしまいます。なにより『食は命に直結する』ということに国民の理解が不足しています」と述べました。

 消費者の理解を得るための工夫としては、エコポイントを活用している韓国や有機農業によるCO2貯留量を取引している米国の政策を紹介し「いろんな農業指標を具体化するようにすれば、農業の果たす役割を理解し、人間にとって食料が必要であること、消費者のための負担であることを理解しやすくなるはずです」と提案しました。


■農業を元気にする運動に期待しました

 またパルシステムへは「たとえばスローフード運動は日本から発信されてもおかしくないものです。日本発の運動を広げ、冷静な議論のうえで農業を元気にするような呼びかけをぜひつくってください」と期待しました。

たとえばスイスでは、小さな子どもさえ「地域のために地元の食材を買うことは当たり前」という教育がされているそうです。欧米では、環境保全の名目で農業生産者へ補助金を支給する制度が、消費者側から求められて制度化された国もあることなどの事例も紹介されました。

 その後の質疑応答では「今後の農業に最低限必要なことは何ですか」「国産の農作物を輸出するうえで必要なことはなんですか」などが出席者から出されました。それに対し鈴木教授は「日本産の食品は、安全性が高いと海外でも人気です。安価すぎる食品を購入することは実は自らの命を削っているということを伝えていないことも、問題ではないでしょうか」と提起しました。

 まとめとしてパルシステム連合会の高橋宏通食料農業政策室長は「日本の農業を守ることは、国民の安全・安心の確保や環境の保全など、多くの価値を有しています。厳しい状況ですが、今回の集会を皮切りに『つくる』と『食べる』をつなげる運動をさらに盛り上げていきましょう」と呼びかけました。






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