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掲載日:2009年12月3日

バランゴンバナナ産地で生産と地域自立を確認
「フィリピンATC公開確認会」を開催しました
パルシステムは11月11日(水)〜16日(月)の6日間、国際産直(フェアトレード)バナナの産地であるフィリピンにて「フィリピンATC(オルター・トレード・コーポレーション)公開確認会」を開催しました。パルシステムグループ組合員・役職員および有識者などが参加し、生産や地域自立の状況を確認しました。

■今年度唯一の海外での公開確認会

公開確認会の会場の様子

 パルシステムでは、食の安全の確保と、環境保全型農業の推進に向け、産地での栽培や生産履歴を生協組合員と生産者がともに公開の場で確認しあう「公開確認会」を1999年より実施しています。2009年度は、野菜産地のちば風土の会(千葉県)など6産地での開催を予定します。

 今年度、海外での公開確認会として、「フィリピンATC(オルター・トレード・コーポレーション)公開確認会」が開催されました。パルシステムの国際産直品であるバランゴンバナナを対象に実施し、パルシステムグループの組合員・役職員のほか、取引先、有識者など28名が参加しました。

 今回はネグロス島での公開確認会でしたが、そのほか多くの島からも生産者の代表が参加しました。単なるフェアトレード(公正な貿易)ではなく、交流を通じて顔が見える、信頼関係でつながる「民衆交易」について確認しました。


■公開確認会の会場の様子

民衆交易をドラマ仕立てに

 11月12日〜14日までの視察や書類監査を経て、15日に公開確認会が開かれました。野村和夫産直事業部長は「バランゴンバナナは、単に無農薬であるということではなく、社会開発としても大切な取り組みであることを再び確認することが大きな目的の1つです。この地で2回目の公開確認会が開催できて嬉しく思います」あいさつしました。

 続いて、各産地からの報告がありました。産地からは、バナナ以外の栽培を増やす生産の多様化によって安定した生活水準を確保するための取り組みなどが紹介されました。

 各産地とも、バランゴンバナナの収入によって「ミルクやビタミン剤などを買うことができるようになりました」「子どもたちが学校に通えるようになっただけでなく、大人も新しい技術を学ぶという機会を得られています」「先住民は狩りや採取をして不安定な生活をしていましたが、バランゴンバナナの栽培によって定住を目指しています」など、生活が改善された事例を報告しました。

 一方、課題として、ネグロスの生産者は元々サトウキビ労働者なので自分達で管理するという概念がなく、バナナのように生育途中で世話をすることへの理解を得にくいこと、近年は気象条件が定まらなくなっており自然に即した栽培をしてバランゴンだけに頼らない農業をしていくこと、などがあげられました。発表者の1人は「私たちは民衆貿易でつながることによって夢が形になっていくことを望んでいます。私たちの夢はシンプルです。よりよいくらしをつくっていきたいということです」と語りました。


■バナナ生産によって、子どもに教育を

バナナほ場の視察

 視察では、各地のバナナほ場のほか、製糖工場やパッキングセンターなどを訪れました。

 パンダノン・バランゴン生産者協会のバナナ農園(共同農場)では、ドロレス・セラルボ委員長が現在の状況について説明しました。特にバナナは台風に弱いため、台風の被害や自然災害を受けて出荷できなくなるバナナもたくさんあるそうです。

 生産者協会には48世帯のメンバーおり、小学校6年間の義務教育修了後、ハイスクールに行ける子どもが増えました。しかし、経済的な事情から進学をあきらめる子どもも少なくないそうです。「将来は、地域のバナナ集荷やパッキングセンターの運営などで、子どもたちが大学まで行けるような所得を得たいと思います。大学を出て地元に戻れるよう、地域で仕事ができるようになれば」と抱負を語ってくれました。

 次にイサベル地域のミアルバ砂糖キビ生産者協会を視察しました。この地域はもともと砂糖キビ農園の地主の所有で、砂糖危機などにより土地が放棄されました。その後砂糖労働者たちが米やトウモロコシなどの農作物を自主的に栽培していましたが、1998年に農地改革が実施され、2003年からオルタートレード財団の支援を受けて、砂糖キビの有機栽培化や農業による地域の自立に取り組んでいます。その結果、当初は7%の子供しか高等教育を受けられなかったのが、2009年には50%が受けられるようになり、小学校には100%行けるようになるまで改善したそうです。

 また、生産者協会では利益の中から積み立てを行い、共同の機材購入や、養豚、魚の養殖、野菜の栽培、民宿などの事業を始めています。また、生産者協会の設立により、融資が受けやすくなったそうです。バナナのみに頼らず、さまざまな農産物を地域で生産し消費につなげることで、産地の自立をめざしています。


■除草剤不使用など栽培管理情報の把握を徹底

 13日は、マスコバド製糖工場を視察しました。オルタートレード財団が繋がりをもつ産地から収穫される有機栽培のサトウキビを原料にマスコバド糖を製造する工場です。製品は主に輸出されますが、近年は国内の有機農産物や黒砂糖に対する関心も高まり、国内販売も伸びているとのことでした。

 同日午後から、14日午前にかけて、ネグロス東州のバランゴンバナナのほ場を視察しました。山間部のバイス地域のほ場では、収穫や手入れ作業について説明を受けました。急な斜面に生育する背の高いバナナに、はしごをかけて袋がけをし、その後実ったバナナを傷つけないよう注意を払いながら収獲して運びます。複数出てくる脇芽のうち、どれを残すのか、見分け方などを教わりました。

 別の低地の川沿いにあるほ場では「2009年2月の大雨による洪水でバナナが流されてしまったのですが、地域のみんなで植えなおし、ようやく回復して収穫間近となっています。ATCは雨でも集荷に来てくれるし、技術や経営指導もしてくれるので助かっています」と話していました。

 14日の午後は、ATCから組織概要についてのプレゼンを受けました。ネグロスと日本の関係は、1980年代半ばの砂糖産業の崩壊で貧困に陥った農業労働者を支援しようと日本での活動が始まり、1987年に初めてマスコバト糖を輸出。1989年からバランゴンバナナの輸出が始まりました。当初は、マスコバト糖の異物混入やバナナの腐敗などたくさんの問題がありながらも、組合員の買い支えなどにより乗り越え、バラゴンバナナは現在、年間2,200tの出荷まで増やしています。

 続いて行われた書類監査では、生産者ほ場モニタリング記録などの生産に関わる帳票や、トレースに関わる帳票、会議の議事録、教育訓練の参加人数などの記録を確認しました。識字率も高くないため、栽培記録の提出率が低いなどの課題はあるものの、出荷数の管理やほ場情報の把握、除草剤不使用の確認などについては、多様な地域でロットの小さいバナナにあって、ここまで徹底されていることに驚きの声がありました。

書類監査

 聞き取りでは「バラゴンバナナは地元では好まれない味のバナナなので、日本人が選んだことが信じられませんでした。そのため、なかなかバランゴンを手入れをして生産することを理解してもらえませんでしたが、実際に栽培をして収入ができるようになり、それを見ていてバランゴンの生産をしたいと言ってきています」と現状を話していました。逆に、日本からの参加者は「現地の人の食を奪わないという当初のコンセプトに感銘を受けた」とのコメントがありました。

 夜は、バナナパッキングセンターを見学しました。入荷したバナナは洗浄作業などが施され、13.5kgごとに段ボールにパッキングします。作業は、午後3時からはじまり、夜中まで続くとのことでした。




生産者と一緒にバナナを植樹しました

低地バナナのほ場視察(タンハイ)



バナナを傷つけないように担いで運びます

バナナを背負う職員

背の高いバナナの手入れ作業(袋がけ)はひと苦労



各集荷所でも、しっかり検品します

車座になってお話を聞きました。(高地のバナナ産地バイスにて)



ミアルバ生産者協会(イサベル)の養豚

マスコバド糖の製糖工場





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