反貧困フェスタで思ったこと
金融危機のあおりを受け、2008年終わりから製造業(特に自動車、電機)で次々に派遣社員が契約打ち切られ、2009年に入り正社員の早期退職を募集という文字が新聞各社の誌面を賑わすようになりました。さらに、2010年度には、完全失業率は過去最悪の5.5%(民間シンクタンク36社の予測平均)になると内閣府の外郭団体、経済企画協会が先日発表しました。
派遣業法などの良い悪い、雇用する側の良い悪い、報道の仕方の良い悪いは抜きにして、困っている人がいます。そんな中で生活協同組合という組織の一員として、なおかつ一人の生活者として私は何をすべきなのか。ヒューマニズムから派遣社員の首を切るな! 派遣切りを行った企業は悪だ! と訴えることが必要なのか? 募金で解決する問題なのか? 募金をすればのうのうと座っていていいのか? そんなことを言っても私にできる事はあるのか? と悶々と考えているときに、あるメーリングリストで、医師が年越し派遣村で活動をしていたということを知りました。そこには切実な現状が書かれていました。私も機会があればこんな風になにか手伝いたいと漠然と思っていました。
思いがけずこのような機会を頂いて、足を踏み入れてみると想像以上にシビアな世界でした。開場と同時にわき目も振らずに炊き出しに並ぶたくさんの人たち。大学教授の講演でも聞くかのように、湯浅さんの講演を聞いてみたいと思っていた自分が恥ずかしくなるくらい切実なシンポジストの声。今まで漠然と考えていた働くことに対する考え方など理想に過ぎないということがよくわかりました。今まで正しいと信じていたことが、この反貧困フェスタに参加して、深い森に再び迷いこんでしまったようなそんな感覚を覚えました。
そんな私が一つだけ分かったことがあるとすれば、ニュースで報道されている事は、その現実に直面している人にはまぎれもない現実で、報道に対して是非を論じても何の解決にもならない。私たちが唯一できることは募金でもボランティアでも何かアクションを起こすことである。いろいろな社会におけるプレイヤーが自分なりに行動を起こすこと、集まって考えること。それが重要なことであるということに気がつきました。「おいしかったよ、ありがとう」といって満足そうに帰っていった人がいると教えてくれた人がいました。たとえ一人ひとりの行動は小さくても集まれば大きなことができる。そして、それによって現実に直面している人が背負っている荷物をほんの少しでも肩代わりできたとすればそれはすばらしいことだと実感しました。
きっとどんなことにも私たち“にしか“できないこと、私たち“にも“できることはたくさんあるのではないでしょうか?
それがどんなにちっぽけでもアクションを起こすことが大切だと思いました。
それが労せずできるのが生活協同組合に関わる人たちなのではないでしょうか?
難しい事は考えずにその人のために一歩踏み出す。賀川豊彦さんはそうしていたと私は聞いています。