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掲載日:2009年2月4日

次世代のIT技術について学ぶ 佐々木俊尚氏講演会
「2020年ITは暮らしをどう変えているのか」を開催しました
パルシステムは1月24日(土)、パルシステム連合会新大塚分室(東京都文京区)にて、ITジャーナリストの佐々木俊尚氏を招き、特別講演会「2020年ITは暮らしをどう変えているのか」を開催しました。ITをめぐる最先端の活用事例を学びながら、将来の方向性について考えました。

高い関心が集まっていました

 ウインドウズ95が発売されて以降、この10数年でインターネットは急速に普及し、現在では、無くてはならない情報ツールとなっています。近年は通信技術の進歩により、PCだけでなく携帯電話を利用したサービスも加速度的に向上しています。

 パルシステムの21世紀生協研究機構では、元毎日新聞記者で雑誌「月刊アスキー」編集部デスクの経歴も持つITジャーナリストの佐々木俊尚氏をお招きし、特別講演会「2020年ITは暮らしをどう変えていくのか」を開催しました。

 この講演会には、パルシステムの役・職員、組合員など55名が参加しました。


■この10年で欠かせないツールになったインターネット

 講演会は、現在パルシステムが議論を進めている「2020年ビジョン」策定にあたり「2020年ビジョンにかかわるICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)研究会」の一環として行われました。講演に先立ち、21世紀型生協研究機構の杉山久資事務局長が「90年代後半から10年ほどで、インターネットは生活や事業に欠かせないツールになりました。これからどのように変化するのかは、大きな関心事となっています。生協と社会の今後10年を考える上で、とても有意義な講演となることと期待しています」とあいさつしました。


佐々木氏からはさまざまなIT活用事例
が紹介されました

■「情報の大爆発」で“管理”から“解析”の時代に

 佐々木氏はまず、90年代に多くの企業で取り組まれたナレジマネジメント(知識管理)についての見解を示しました。

 ナレジマネジメントとは、1人ひとりが所有しているノウハウを組織的に共有することを目的とした情報管理手法を指します。

 佐々木氏は「社員から情報をどう引き出すか、そして集められた情報をどう整理するかという2つの難題が存在しました。情報を提供してもどこのフォルダに格納していいか分からず、探す側はどこにあるのか分からなくなったのです。このように情報処理が難しい上、検索や再利用へ気持ちが回らず、情報が有効に活用されるケースは減少していったのです」と話しました。さらにブログやホームページによる「情報の大爆発」が、ナレジマネジメントの挫折に追撃ちをかけたといいます。

 次に情報の種類について佐々木氏は(1)自分用のメモや親密な人とのやり取りといったパーソナル領域(2)専門的な記事や社内をはじめとする限られたコミュニティへの告知などのミドル領域(3)圧倒的多数の日本人に向けて伝えるニュースをはじめとするマス領域――の3種に分類し「同じ趣味志向を持つ人同士のコミュニケーションであるミドルメディアこそがインターネットの本質です」と解説しました。「情報量が爆発的に増加したこともあり、もはやナレジ(知識)をマネジメント(管理)することは不可能となりました。現在はナレジマイニング(知識解析)が主流となっています」とのお話でした。


■キーワードは「レコメンデーション」「ソーシャルグラフ」「風景が広告になる世界」

 ナレジマイニングとは、入力した検索キーワードなどから関連のある情報を検索して表示する技術のことです。佐々木氏は「レコメンデーション(おすすめ)」「ソーシャルグラフ(人間関係)」「風景が広告になる世界」の3つをキーワードに、それぞれの事例を紹介しました。

 「レコメンデーション」とは、書籍通販サイト「アマゾンブックSHOP」に代表されるような、個々人の注文履歴から志向や好みに合った関連商品をおすすめする仕組みです。そのほか、ある家電販売サイトでは、たとえばデジタルカメラでは「手ぶれ補正」「価格」などあらかじめ、購入条件の優先順位を決めてもらうことで、絞り込んで商品をおすすめしています。ただし「必要で購入したものと欲しいものが、同列に扱われてしまう危険性があります。プライバシー侵害のおそれも否めません」とデメリットも示しました。

 「ソーシャルグラフ」は、人間関係が情報アクセスのプラットフォームになってくることを意味しています。例えば、ソーシャル・ネットワーキングサービス[mixi(ミクシィ)]のように、レストランや料理レシピ、映画などのサイトでは、多岐にわたるテーマで趣味や志向の近い人同士が結びついていきます。

 そうしたサイトでは多くのレビューの投稿があるなかで、使いこなす人は、それぞれの分野で自分の趣味嗜好にあった「カリスマレビュワー」を見つけ出し、その人が提供する情報ならば、間違いないだろうと考え、食べに行ってみたり、料理を作ってみたり映画を見たりするそうです。

 しかし、そうした情報の収集方法では、「必要な情報が入手できる反面、余計な情報が入ってこない『たこつぼ化』が問題点といえるでしょう」と指摘しました。

 3つ目の「風景が広告になる世界」は、ポータルサイトGoogleの「ストリートビュー」を進化させたサービスの可能性です。路上から見た光景をインターネット上だけに存在する看板型広告として映像化し、映像上で、実際の距離や高さの測定を可能にしたサービスもあります。最近の実験では、カメラを通すと現実には存在しない動物が見えるような仕組みが実現しているそうです。将来的には、携帯電話のカメラで写した映像から地域を割り出し、レストランやレジャースポットなどの情報を提供できるようになるなど、現実の世界が検索できるようになるとして、その技術が注目されています。


■活発な質疑応答から関心の高さがうかがえました

 最後に佐々木氏は、IT通信技術の進化形の1例として「リアリティマイニング」(現実解析)を提示しました。携帯電話に無線LANを装備させ、互いに近づいた人同士の記録を蓄積していくことでその人の人間関係が見えてくるというものです。行動情報を収集、解析することで、1人ひとりに対応したサービスやインフルエンザをはじめとする感染症の予防および拡大阻止に用途が期待できるとのお話でしたが「プライバシー侵害を危ぐする意見もありますし、実際、実証実験では、規約同意確認画面があらゆる動作で出てきました」と、課題を挙げました。

 そして「マスメディアは一元化された情報を提供し、これまでのインターネットは情報の分散を生みました。今後は、情報を最適化して届けるミドルメディアへ、情報を再集約する方向へ進むでしょう」と、推測しました。

 その後、参加者との質疑応答があり「大手とはいえ企業が多くの個人情報を管理することに危険はないのでしょうか」「ITが普及していない家庭にはどういう仕組みが考えられますか」「パルシステムの注文システムはどう変わっていくべきですか」などの疑問が出されました。佐々木氏は「セキュリティは、自分の情報履歴を消去できるサービスも出始めており、各自が情報を管理する時代が来ると考えます。また、流通をめぐってはチラシ画像をオンラインで提供し、どこを見たかを解析するサービスが始まりました。さまざまな流通モデルをどれだけIT化し、社会の仕組みとして取り込むかによって、ITと縁遠い人も必要な存在にすることができるのではないでしょうか」と回答しました。



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