本文へジャンプ
ここから上部共通ナビゲーションです
パルシステムのトップへ戻る
パルシステムのトップへ戻るパルシステム加入のご案内トップページへ資料請求する(資料請求フォームが開きます)お問い合わせ一覧ページへサイトマップへ
ホーム > ニュース一覧 > ニュース
ここから本文です

ニュース 目次に戻る



掲載日:2008年8月25日

激変する世界経済の構造変化に協同組合としての将来を展望する
講演会「資本主義2.0の時代に」を開催しました
パルシステムは8月16日(土)、東京都文京区のパルシステム連合会新大塚分室において講演会「資本主義2.0の時代に」を開催しました。講師に三菱UFJ証券チーフエコノミストの水野和夫氏を招き、現在進んでいる世界的な経済環境の変容と今後の日本経済のあり方について考えました。

関心の高さがうかがえた講演会

 パルシステムでは2008年度から、2010年度までの3カ年計画「第5期中期計画」を進めています。その計画の1つとして、2010年以降に対応する「2020年ビジョン」を策定することが盛り込まれています。「第5期中期計画」初年度の2008年度は、環境分析の年と位置づけ、幅広い分野をテーマに各種講演会や学習会を開催しています。


■パルシステム役職員など70名が出席

 8月16日に開催された講演会には、パルシステムグループの役職員など70名が出席し、経済的側面からみた世界の変化について学びました。

 冒頭、パルシステム連合会の唐笠一雄専務があいさつし「時代の変化は予測できない部分も少なくありませんが、資本主義経済が大きく変化していくなかで、私たちの協同組合活動はどう対応していけばいいのかを考えるきっかけにしましょう」と出席者に呼びかけました。


■大航海時代における欧州以来の経済変化

世界経済の展望を語る水野氏

 講師に招いた水野和夫氏は、1980年に八千代証券(合併後、現三菱UFJ証券)入社後、一貫して経済マクロ分析に携わっており、近年では「人びとはなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」(2007年日本経済新聞出版社)、「資本主義2.0宗教と経済が融合する時代」(島田裕巳氏共著、2008年講談社)を執筆し、きわめて高い評価を受けている気鋭のエコノミストです。

 水野氏は、構造変化によって生まれた新しい「資本主義2.0」を「これまでとは逆に、金融の方が実物経済を振り回すようになった資本主義が「2.0」です。株式を“新しい貨幣”にするとともに、金融商品の証券化を行い、銀行預金量に縛られず巨額の“マネー”を生み出し、それが地球を駆け巡ることによって、実物経済にとらわれることなく金融的利潤を上げるのです。むしろ実物経済がこれに支配されます。これが「資本主義2.0」です。資本の自由な国際間移動とIT革命による取引の24時間化と、低賃金を基盤とするBRICsの経済発展により、これが可能となりました。その誕生は1995年です。」と説明しました。

 さらに「資本主義2.0」の問題点を指摘、「サブプライムローン危機に見られるように、“バブル”を生み出し弾けさせながら、資本の利潤を増やします。現在、“バブル”をコントロールする方法はありません。一方、経済的先進国の実質労働賃金はあと30年弱で半減し、中産階級が没落し大きく二極分解します」と述べました。

 また、今日の原油等資源・エネルギー、穀物等食料価格の暴騰について、「『資本主義2.0』の中で、膨大な“マネー”が利潤を求めて、投資・投機資金として穀物市場に投じられた結果でもありますが、これは“資源バブル”の崩壊で元に戻るのではなく、『資本主義2.0』の誕生に伴う新しい価格体系への移行過程での現象として捉えるべきでしょう」と同氏独自の分析を披露しました。

 食の供給事業を営む日本の生協や流通業の未来展望については、「生産性を革命的に向上させない限り、グローバルな競争に負け、雇用・労働賃金の維持・アップは不可能になります」と、“警鐘”を鳴らしました。同時に、「資本主義2.0」、グロ−バル経済を生き抜く方法として、「預金量に縛られない“マネー”の調達と運用、ならびに化石燃料を代替するエネルギーの開発によって、エネルギー革命、以上2つの勝利者になること」を強く訴えました。


■グローバルに対して地域に根ざす生協に期待

 その後の質疑応答では、中国や米国、アジア経済圏の展望について意見が求められたほか、「日本はどのように動けばいいのでしょうか」などの質問が寄せられました。なかでも「株式を発行しない協同組合にとっての将来性はありますか」との質問に対して水野氏は「国境を越えた貨幣となった株式に相対して地域通貨が重要な役割を果たすようになります。欧州ではすでに実験が始まっていますが、地域に根ざした生協にはこうした金融的役割が期待できるのではないでしょうか。『資本主義2.0』が現在のまま進めば、日本人はアイデンティティを失い、もっとも被害を受ける国となりかねません。いま日本にある倫理観や価値観を保っていく活動も重要だと考えます」と述べ、地域社会での生協の役割に期待しました。




このページの上へ戻る