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「第2回食と農セミナー・2003 青年農業者交流会」を開催しました 目次に戻る

 首都圏コープ事業連合の取引産地の生産者と生協、組合員でつくる、首都圏コープ生産者・消費者協議会は、11月17日(月)東京品川区の品川区立総合区民会館「きゅりあん」において、「第2回食と農セミナー・2003 青年農業者交流会」を開催しました。

 当日は、全国の産直産地の生産者49名と、消費者である生協組合員・役職員50名が参加しました。今回の食と農セミナーでは、首都圏コープ事業連合がこの間、取り組みを始めて3年が経過した硝酸態窒素プロジェクトについて、3年間の取り組みのまとめと今後を中心に、生産者と消費者が一緒に話し合いました。

 講師としてお招きした筑波大学教授の西尾道徳さんからは、「環境と食品の安全性を考慮した土壌の養分管理の適正化」についてと題し、ご講演いただきました。硝酸は一般の作物には必要なものですが、取りすぎると人体、特に乳児への影響や、地下水・水道水源の汚染につながります。
講演のなかで西尾先生は、その原因として農産物への過剰施肥が考えられると指摘し、土壌調査を行い、その土地、その時にあった分だけ肥料を与えることが硝酸汚染を防ぐ第一歩であると話されました。
 また、消費者は、直接口に入る水や農産物だけでなくどうしたら土壌を含む汚染を減らすことができるか、末端部分だけでない根本の問題にも目を向けることが必要だと述べられました。

 首都圏コープの青果を扱う(株)ジーピーエス高橋宏道さんからは、硝酸態窒素削減への取り組みの3ヵ年のまとめが報告されました。硝酸態窒素は、葉や茎など測定する場所で値が異なり、収穫の天候にも左右されるなど、同じ検体を計っても、結果に差異が出てしまうなど問題点がありますが、今後も実験を続け、各県ごとの施肥基準から3割減をめざすなど過剰施肥を防ぐよう取り組みを続けていくことを提起し、生産者が努力して作った農産物を、消費者は理解し、消費してほしいと呼びかけました。

 後半では、参加者が7つのグループにわかれて、硝酸態窒素削減をテーマにグループディスカッションを行いました。青年農業者交流会ということで、産地からは20代〜40代を中心に若手の生産者が集まり、生産者の考えや産地の現状、苦労やリスクなど生の声が届けられました。それを受けた消費者側からは、今後、組合員に共通の認識をどうつくるか、リスクをどう負担するかなどの声が出されました。

 今回の「食と農セミナー」は、一つのテーマについて、生産者と消費者が立場を越えて共に学びあい、テーマを一緒に深める場として開催されました。環境と食の安全が大きな問題としてクローズアップされるなか、硝酸態窒素の問題も新たな課題として浮かび上がってきています。土や水の健康の問題を通じて食の問題を考える機会として、大変有意義な生消の交流を深めることができました。

*硝酸態窒素とは
 土壌中の窒素は、土壌微生物によってアンモニウム、次いで亜硝酸を経て硝酸に変えられ、作物に吸収されて、葉や茎のなかに栄養として蓄積します。収穫されて植物の成長に使い切れなかった硝酸態窒素は、人体内で、亜硝酸態窒素に還元され、この亜硝酸態窒素がメトヘモグロビンと結合して、場合によっては酸素欠乏症をひきおこすと考えられています。窒素施肥の過投入による窒素負荷の増加が地下水の汚染につながっているとも指摘されています。首都圏コープ事業連合では、生産者と消費者が一緒になって、三年前から硝酸態窒素削減に向けた削減プロジェクトに取り組み、近郊産地での施肥設計と実証試験による硝酸態窒素含有量の調査など、削減に向けた活動をすすめています。


筑波大学教授 西尾道徳さん
「環境と食品の安全性を考慮した土壌の養分管理の適正化」と題してご講演いただきました
会場の様子
(品川区立総合区民会館「きゅりあん」にて)
(株)ジーピーエス 高橋宏道さん
首都圏コープの硝酸態窒素削減プロジェクトの報告がなされました
グループディスカッションの模様
ディスカッション後、それぞれのグループが話し合った結果を発表しました