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事故から5年、避難者への支援が打ち切りに

報告会「福島原発事故から5年を迎えて 福島の今から未来をつなぐ」は、グループ役職員など71名の参加があり、福島を取り巻く現状や、パルシステムグループの各生協による震災復興支援の事例を共有しました。

基調講演には福島原発告訴団団長の武藤類子さんを招き、原発事故がもたらした被害の現状と被災者支援活動について学びました。また『原発避難白書』の編集に関わった福田健治弁護士からは被災者を取り巻く課題を、避難当事者からの報告として長谷川克己さんから報告がありました。

政府は2015年8月の閣議決定で「原発事故子ども・被災者支援法」を改定し、自主避難者の住宅支援を2017年3月で打ち切り、避難指示区域は帰宅困難区域を除いて同月に解除、賠償は2018年3月までとの施策を進めています。

運動委員会の佐々木博子委員長(パルシステム千葉理事長)は「福島の現状と課題を学び、私たち生協に何が出来るかを、ともに考える機会です。今日の内容はそれぞれの生協へ持ち帰り、地域での活動へつなげてください」として、被災者支援に引き続き取り組み、原発再稼動に反対することを確認しあいました。

多くの参加で会場は満員に

基調講演「原発事故は終わらない」武藤類子さん(福島原発告訴団団長・原発事故被害者団体連絡会代表)

「東京電力福島原子力発電所の事故処理には、いまだ1日7,000人もの労働者が厳しい条件で働いています。行き場のない核廃棄物は増えるばかりで、人目を避けた仮置き場へ山積みになっています」と武藤さんは指摘します。「収束とは言いがたい状況のなか、震災前に法で定められていた年間1ミリシーベルトまで放射線量が下がっていないにもかかわらず、政府は避難区域を解除し支援を断つという、被災者切捨ての施策を打ち出したのです」。

その一方で「福島県では原発とは共存できるという教育が県内の学校で行われ、県と日本原子力開発機構などによる原発啓発施設の建設が始まっています」と、新たな安全宣伝活動のもと、福島のなかで「行き届いた分断」が進められていると言います。「私たちはあきらめず、手をつなぎ、無責任な国や東京電力への責任を追及し続けていきます」と、これから始まる「原発事故刑事裁判」への理解と協力を求めました。

福島原発告訴団団長の武藤さん

「原発避難白書から」福田健治さん(弁護士・福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク)

福田さんは9月に上梓した『原発避難白書』をもとに自主避難者のおかれている状況について報告しました。「原発避難者への対応が手薄いのには、そもそも政府が定義しない、正確な人数を把握しない、というのが挙げられます。人々を被爆させない包括的な基準を作っていないのです」と、本白書にて「避難の全貌を明らかに」した経緯を説明しました。また避難者の生活困窮は深刻であり、避難支援解除は「新たな自主避難者を生む可能性があります」として、避難者向けの生活支援の必要性についても語りました。

「原発避難白書から」福田健治さん

長谷川克己さん(「避難の権利」を守る全国避難者の会)

震災後、福島県郡山市から静岡県へ移り住んだ長谷川さんは「政府はせめて妊婦や子どもたちだけでも、一時避難など何らかの対応をすべきではと思っています。経済よりも命が大事です。避難者が後ろ指を指されることのないよう、全国の仲間と協力していきます」と話しました。

自主避難生活を続ける長谷川さん

各地域で継続展開される多様な支援活動

パルシステムグループからは、パルシステム福島が発災直後から今日までの経過を、パルシステム東京・神奈川・千葉・埼玉・連合会からは、震災復興基金の創設と運営、甲状腺エコー検診活動、自然エネルギーを広める取り組み、帰還困難区域の自治体との連携、週末保養など各生協での精力的な支援活動が報告されました。

会場からは「私たちの知らない福島がありました」「本来は国がやるべき支援だとは思いますが、全国的な運動とあわせて地域の支援が改めて必要だと思いました」などの発言がありました。