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制度改正で「インフォーマル」は不可欠に

シンポジウム「インフォーマルサービスを進める 地域へ~パルシステムの資源活用~」は、定員80名を超える参加があり、パルシステムエリア内外での地域活動事例を学びました。

介護保険制度は2015年4月からの制度改正により、これまで「予防給付」としていた介護予防給付のうち、訪問介護と通所介護が地域支援事業へ移行され「新しい総合事業」となります。介護度の低い人の生活支援を地域で支えるため、各市区町村は家事支援や食材配送などのくらしの支援サービスを提供する体制を構築することが求められています。

その担い手として期待されているのが、生協やNPO、ボランティア組織などです。これら公的制度に位置づけられないくらしの支援サービスは「インフォーマルサービス」と呼ばれ、各地で家事援助や居場所づくりの活動が広がっています。

定員を上回る参加がありました

窓口一本化で存在感高まる

基調講演は「生活支援サービス『はーと・ふるネット』」として、おかやまコープの竹田芳子全体理事、竹内由美・組合員活動グループ職員が活動を紹介しました。

同生協では1990年、組合員が自発的に「くらしの助け合いの会」を発足させ、高齢者へ食事の手伝いや屋内掃除、草取り、子育ての手伝いなどを行ってきました。その後、会計や個人情報の管理が活動する組合員の負担となってきたことから、2013年に現在のしくみへ見直し、活動しています。

しくみは、利用者が「生活支援サービス総合窓口」へ連絡すると、窓口担当が相談内容によって、行政窓口や生協事業の紹介や、はーと・ふるネットへの依頼へと振り分けます。はーと・ふるネットへの依頼は、各地域の組合員コーディネーターが対応し、スキルや距離などを踏まえて登録する「応援者」と調整、有料で生活支援サービスを提供するというものです。

相談件数や利用登録者数は年々増加しており、多い月で200件におよぶこともあるといいます。組合員以外からの相談にも応じており、なかには行政や介護福祉のケアマネージャー、民生委員からの相談もあるそうです。竹田理事は「県内自治体との協定数も増えており、地域での認知向上を感じています。担い手づくりなどの課題もありますが、ほかの組合員活動との連携などで活動を深めていきたいです」と話しました。

おかやまコープの竹田さん(左)と竹内さん

多世代が交流するサロン活動

パルシステムグループからの報告では、サロン活動として「洗心亭」(グラウンドワーク三島、パルシステム静岡)、「地域の居場所『縁が輪』」(パルシステム群馬)、「多世代交流サロン辰巳」(NPOえん、パルシステム東京)をそれぞれ紹介しました。

洗心亭は、地元を流れる河川の水質改善を機に活動を開始し、ネットワークが広がるにつれて庭のせん定や家の修繕などの高齢者支援をするようになりました。2014年に居場所づくりとして洗心亭を開設、認知症を含めた高齢者や子どもが集う場となっています。農業体験会や学習会も開催しており、パルシステム静岡は食の学習会などに協力しています。

縁が輪は、パルシステム群馬の組合員活動で、月2回のペースで高齢者から子育て世代まで幅広い参加を受け入れています。クリスマスイベントでは、料理が足りなくなるほどの参加を集めましたが「料理する組合員の負担が高く、経済負担だけでも軽減できないか検討しています。地域の知名度も上がっており、課題をクリアしながら継続したいと思います」と話していました。

多世代交流サロン辰巳は、パルシステム東京の委託を受けてNPOえんが運営しています。認知症予防セミナーやうたごえ喫茶といった高齢者向け企画のほか、産後の女性を対象とした「骨盤エクササイズ&美姿勢ウォーキング」なども実施しています。地域に住む人に講師として登録してもらうことで、ふだんは接する機会のないさまざまな層の交流を図っています。

第2部は、2つの分科会に分かれ、報告された事例への質疑を中心に情報共有と意見交換が行われました。パルシステム共済連たすけあい活動委員会、パルシステム連合会総合福祉推進委員会の田原けい子委員長(パルシステム埼玉理事長)は「発表された事例に課題解決のためのヒントがあったと思います。それを持ち帰り、それぞれの組織、グループで活用してください」と話しました。

静岡県・洗心亭の活動を報告した主宰の小浜修一郎さん