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食品ロスの原因は「業界」と「消費者」

パルシステムでは、1人ひとりの選択でよりよい社会や自然環境を次世代へ引き継ごうと、「ほんもの実感!」くらしづくりアクションを呼びかけています。その一環として開催している連続講座の第4回は「食品ロス削減に向けた取り組み」をテーマに開催しました。

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産業廃棄物処理業者による廃棄食品の横流し事件は、消費者の食に対する不安を募らせています。その一方で国内ではまだ食べられる食品が多く廃棄されているのも実情です。講座には、パルシステムグループの組合員や役職員など、108名が参加しました。

最初の講演は、消費者庁の髙橋史彦・政策企画専門官から「食品ロス削減の現状や国の施策、国内の事例紹介」について学びました。

食品ロスとはまだ食べられるのに廃棄される食品のことです。主な要因は、一定期間の賞味期限を保障する「製造、流通業界の慣習」と、少しでも新しく製造された商品を好む消費者の「過度な鮮度志向」です。髙橋さんは、消費者庁が中心となって関係省庁や業界団体と進めている政策を中心に食品ロス削減に向けた事例を紹介しました。

一方、家庭で食品ロスを削減するためのポイントは(1)「賞味期限」と「消費期限」を正しく理解する(2)買いすぎず、作りすぎず、適切な保存を心がける(3)あまってもいろんな工夫で食べきる――とのことです。

パルシステムの取り組みについて「カタログなどでも食品ロスへ向けた情報提供に積極的で『見える化』ができています。こうした事業者の努力を評価するには、消費者が『買う』という行動が不可欠です。応援、投票するつもりで、これからも買ってください」と期待しました。

組合員など108人の参加者がありました

消費者庁・髙橋専門官

1人が毎日おにぎり2個分を廃棄

次に、食品ロスに詳しい井出留美・Office 3.11代表から「食品ロス削減、無駄のない暮らし方、フードバンクの活動について」を語ってもらいました。

井出さんは、余った食べ物を生活困窮者へ提供するフードバンク活動を国内で初めて開始したセカンドハーベスト・ジャパンの広報室長などを経て、「全ての人が安心して食べられる、笑顔でくらすことができる社会」を目標に、全国各地で「食」の課題を伝える公演活動を展開しています。

食品ロスは、日本で年間642万トン、うち家庭からは312万トンが発生しています。1人1日当たりに換算する食品ロス発生量は、約170g、おにぎり1~2個分といわれています。食品ロスの理由として大きなもので賞味期限の接近があります。

消費者でもできる“もったいないをなくすための日常生活の購買・消費行動の見直し”なども紹介されました。食材の量を常に把握して必要以上に買いすぎない、フードバンク団体への寄付、3者以上で考える「マルチステークホルダー」の提案などが示されました。マルチステークホルダーとは、企業・行政・NPO・学会など多種多様な利害関係者を指し、それぞれが対等な立場で、ともに課題解決にあたる合意形成の枠組みが求められているとしました。

最後には質疑応答もあり「もっとわかりやすい賞味期限の判断方法を教えてください」「賞味・消費期限を伸ばすことへの理解を増やすにはどうしたらいいでしょうか」など、活発な意見交換が行われ、関心の高さが表れていました。

井出さんからは残さない「くらしの知恵」も

井出さんが提案する“もったいない”をなくす10の消費行動

  1. 買いに行く前「冷蔵庫や戸棚の食材の量を確認」
  2. 買いに行く前「空腹状態で買い物に行かない」
  3. 買い物中「すぐ食べるものは棚の手前から取る(手前ほど賞味期限の迫ったものが置かれる)」
  4. 買い物中「必要以上に買い過ぎない」
  5. 調理中「できるだけ食材を使い切る(過剰除去に留意)」
  6. 食べた後「食べきれなかった料理は別のものに変身」「やむを得ず捨てるなら水気を切って捨てる」
  7. 保管中「賞味期限は“美味しさの目安”なので自分の五感も使って判断する」
  8. 保管中「ローリングストック法(=サイクル保存)など備蓄方法の見直しを」
  9. 外食するとき「飲食店などで注文し過ぎない」「食べられる量を出してくれる店を選ぶ」
  10. 外食するとき「残さずに食べる」「持ち帰りを頼み、すぐ食べ切る」