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掲載日:2014年5月27日

阻止ネットでエネルギー基本計画を検証するシンポ開催
原発行政の担当者を交え課題を確認
パルシステム連合会が参加する「『六ヶ所再処理工場』に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク」(阻止ネット)は5月21日(水)、東京・千代田区の衆議院第1議員会館でシンポジウム「『核燃料サイクル』の現実から『エネルギー基本計画』を検証する」を開催しました。

■「原発は本当に必要なのか」を検証

会場には多くの参加者が集まりました

 パルシステム連合会は「『六ヶ所再処理工場』に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク」(阻止ネット)への呼びかけ団体として、「さようなら原発1000万人アクション」への参加をはじめ、署名活動やパレードへの参加を通じて脱原発を訴えています。

 シンポジウム「『核燃料サイクル』の現実から『エネルギー基本計画』を検証する」(協力:原発ゼロの会)は5月22日(水)、東京・千代田区の衆議院第1議員会館で開催し、参加団体の組合員や関係者など150名が参加しました。講演や六ヶ所村視察報告のほか、行政の担当者との質疑応答なども行われ、今後のエネルギー政策のあり方を考えました。


■すでに破たんした「虚構のサイクル」

講演する鎌田慧さん

 基調講演では、ノンフィクション作家の鎌田慧さんが「六ヶ所村の記録――核燃料サイクル基地の素顔」をテーマに、再処理工場建設をめぐるこれまでの経緯を紹介。「これまでの強引なやりかたで、村内の反対運動は破壊されてしまいました。核燃料サイクルは、関係者も『破たんしている』と認める虚構のサイクルです。地域の実情へ配慮しながら、着地点を探らなければなりません」と話しました。

 続いて、原子力情報資料室の伴英幸共同代表は「エネルギー基本計画における核燃料サイクル政策の問題点」として、これまでの経過を振り返りながら4月に閣議決定したエネルギー基本計画の概要を説明しました。そのうえで(1)原子力の保有が外交的な抑止力になっているのか(2)国内完結型の体制構築は実現できるのか(3)撤退した場合の青森県への支援をどうするか――について疑問を提起しました。


■資源エネ庁、原子力規制委と質疑応答

政府の原発関連担当者との意見交換

 市民の六ヶ所視察ツアー報告は、パルシステム東京の佐藤奈穏美さんが3日間にわたった視察日程の内容と感想を述べました。(詳細は下記視察報告を参照)

 最後に、政府から資源エネルギー庁と原子力規制委員会の担当者を招いた質疑応答が行われました。国内における核燃料の保有量や施設の事故対策など、幅広い質問が寄せられ、回答を通じて原子力を含むエネルギー政策のあり方を考えました。

 また、超党派の国会議員が参加する原発ゼロの会をはじめ、与野党から多くの国会議員のみなさんが来場しました。


●市民の六ヶ所視察ツアー報告(パルシステム東京 佐藤奈穏美さん)

報告する佐藤さん

 5月9日(金)から11日(日)までの2泊3日、核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団・事務局長の山田清彦さんガイドのもと、現地を視察訪問しました。六ヶ所再処理工場を取り巻く地域の今と昔、そして地元の現状と問題点、自然環境や町並み、インフラなど、目の前の状況を見るだけでなく、背景も知る視察となりました。


ち密で厳しいモニタリング体制

モニタリングの状況を表示

 使用済み核燃料が陸揚げされるむつ小川原港と陸送専用道路を見学。港内は立ち入り禁止なので一般道路からの見学となりました。加工された使用済み燃料が搬入される日は、原子力センターの職員も同行し、厳しいチェックを行うそうです。以前は住民も搬入ストップの声をあげていたそうですが、現在はいつ搬入されるか秘密になっているそうです。

 続いて青森県原子力センターを訪問しました。原子力施設の周辺地域における安全確保と環境保全を目的に総合的監視機関で、必要に応じ緊急事態対応対策拠点(六ヶ所オフサイトセンター)の代替施設ともなる場所です。

 施設職員から環境モニタリング実施状況と施設および業務概要を案内され、細心の注意を払い放射線をモニタリングし監視していることが確認できました。モニタリングしている放射性物質は、ほかの施設では計測できないプルトニウム、アメリシウム241、キュリウム44、炭素14も測定しています。東日本大震災以降は、県内のモニタリング箇所も増やしたそうです。

 放射能で汚染された場に立ち入ることも想定し、セミホット室が設けられており、除染のシャワーや体についた放射能を図る測定器も用意されていました。


そこまでしなければならない原子力って

山田さんから厳しい現状を聞きました

 青森県環境放射線管理では、一般的な企業や市民測定とは異なり、測定対象物(検体)を牛乳でも米でもすべて灰にして計測します。機器は、放射線種ごとに高性能測定器が複数台設置されていました。計測には、灰化のための灰化窯という特別な窯と、検体入れるボウル皿が必要になります。職員に、価格を尋ねたところ「ウン千万円」、ボウルは「2〜3万円と」のことでした。

 「青森県環境放射線管理システムテレメーターシステム」は、環境データの測定から収集・解析、測定データは、公開されています。運用管理施設の無停電電源装置室や測定室床下の空調設備などは、それぞれ技術とち密さに感心するばかりでした。それと同時に「そもそもこんなことまでして安全確保をしなければならない原子力発電ってなんだろう。それほどまで危険なら、エネルギー源としてふさわしいのか再検討すべきでは」と強く思いました。

 続いて、三沢にて山田清彦さんから、六ヶ所再処理工場と青森県の原子力発電施設について、現状と問題点を詳しく説明してもらいました。地域には、核のゴミが集中していることはもちろん、住民避難経路確保や下北半島の大陸棚外縁断層などの問題があります。また、三沢基地では、米軍による戦闘機の演習と射撃訓練が行われ、原子力施設に近いことにとても脅威を感じました。


米軍訓練で繰り返される集団移転

整備された住宅街

 ウラン再処理工場と六ヶ所再処理工場に向かう道、景色は広々とした開けた土地が多く、私の東北のイメージとはかなり違いました。その多くの空間は騒音対策などの移転によるものでした。アメリカ軍戦闘機訓練や射撃訓練による振動と騒音により集団移転が繰り返されたそうです。

 阻止運動の歴史やかかわったみなさんの今昔の話、活断層の話なども聞けました。活断層のずれを知っていたにもかかわらず、施設建設を強行していることがわかりました。

 六ヶ所再処理工場に近いレイクタウン、新興住宅街、六ヶ所村役場など生活エリアも見学しました。日本一高所得な村だそうで、「家を建てて100万円もらおう」という行政看板にも出会いました。

 ウラン再処理工場はバス車内から、六ヶ所再処理工場は正門正面の道路を挟んだ歩道から見学しました。


菊川さん「六ヶ所を忘れないで…」

地域での活動について話を聞きました

 次に「花とハーブの里」を訪問し、菊川慶子さんから話を聞きました。東日本大震災以降、阻止活動に追い風だと思っていた想像と違い、現場は深刻でした。以前は「表立っては言えないけれど、陰では応援します」との声がありましたが、3.11を境に原発が停止し、生活や収入の問題が目前に付きつけられ、態度が変わってきたそうです。最後に菊川さんは声を詰まらせ「みなさん、六ヶ所を忘れないでほしい」と話しました。

 原燃PRセンターは、館内に模型で再処理工程が再現されており、分かりやすい見学コースとなっていました。別室にて事前質問に対する回答があり、研究者・開発者は、理論上可能なことを推し進めているのだと思いました。しかし、再処理工程でトラブルが続いていた部分であるガラス固化においての解決策は、なんと「職人技」。数字に置き換えるコンピューター制御はできないそうです。

 交通事故や火災などさえゼロにできない人間に、事故のない完全なコントロールは不可能です。日本原燃の方も「事故はゼロではない」と話していました。仮に事故があったとして、その1回の事故が大事故となる可能性があります。特に再処理工場が扱うプルトニウムで事故がおきたら……人間の五感で認識できず、避けがたく、現段階で放射能の毒性をコントロールするすべが人間にはありません。

 不適切かもしれませんが、とび職の職業病で「高所不感症」があります。慣れから高所への恐怖感覚が麻痺するものです。原子力研究者・開発者の話は、いわば「放射能不感症」に陥り感覚が麻痺しているように感じました。


30年で核燃サイクルも生活の一部に

青森駅前で活動を呼びかけ

 PR館のトントゥビレッジの見学と東通原子力発電所を遠方から見学。原発敷地を有刺鉄線が張り巡らされていました。

 横浜町の菜の花畑と風力発電では、広々とした豊かな緑に勇壮に立つ多くの風力発電施設を見ました。ほかにも、エネルギーの地産地消や持続可能エネルギーについて考えさせられるシーンがいくつもありました。

 山頂の米軍監視レイダーシステムなどの存在もこの目で見ました。原発と再処理工場、核のゴミの問題、青森県のおかれた複雑で深刻な状況を思い知らされました。

 最後に、青森駅前で阻止ネットのチラシを配りました。「お願いします」と差し出すと拒否する方が少なく、受け取っていることに驚きました。

 視察を通じ、あらためてさまざまな立場、生活があると思いました。核燃料サイクル施設立地申請から30年が経ちました、その間、地域とともに住民の生活の中に核燃サイクルが入り込んでいることを実感しました。

 しかし、幸いなことに再処理工場は本格稼働をしていません。本格稼働の前に、いま一度、この計画の安全性とリスクを考えるテーブル(席)についてほしいと切に願います。核のゴミや処理技術に「あせらないでください…」と言う日本原燃の方と同じく、私も稼働や実行に「あせらないでください…」と申し上げたいです。


【関連リンク】

「六ヶ所再処理工場」に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク






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