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21世紀コープ研究センター「第2回経営者セミナー」を開催しました 目次に戻る

首都圏コープ事業連合のシンクタンク機能をめざす21世紀コープ研究センターは、2月23日(土)午後2時より、池袋メトロポリタンプラザにて「第2回経営者セミナー」を公開で開きました。『中国のWTO加盟とこれからの日本農業 −無農国にならないために−』と題して開かれた会場では、ノンフィクション作家の橋本 克彦氏の司会で、WTO加盟で世界の注目を集める中国とこれからの日本の農業について参加者が認識を深めました。

昨年12月、世界で143番目の加盟国としてWTO(世界貿易機構)に加盟した中国。アジアのなかで中国への関心がますます高まるなか、今回のセミナーでは、より多くの方々が「農」の問題について関心を持っていくことを目的に、一般の参加も含めて会場一杯に約100名が集まりました。
当日は、中国と日本の農業問題に詳しいお二人のゲストを講師に迎え、最初に講演に立った村田 武九州大学大学院教授が「切り離された食と農をどうつなぐか」をテーマに、中国のWTO加盟をどう見るか、WTO加盟は農業、食料のグローバル化とどう関わるかを中心に今日的な視点を提起されました。また、「フードマイレージ」の視点から環境保全型農業を提唱される篠原 孝農水省農林水産政策研究所所長は、「21世紀日本の農業」のテーマで、世界と日本の課題、農的循環社会と環境保全型農業の
必然性について述べられ、中国を含む東アジア全体のなかでの日本の役割について講演しました。

村田氏は講演のなかで、主要穀物の国家貿易による輸入数量制限撤廃と関税割当制度への移行により、トウモロコシ、米など主要穀物のかなりの部分が民間貿易に委ねられることにより、今後、中国が農産物輸入大国になること、なかでも小麦については2004年には完全に輸入超過となり、国の輸出補助金が無くなるので、中国の農業は高付加価値型への構造転換を迫られており、そのことが韓国や日本へ今後、輸出圧力につながるだろうと述べました。一方、ベトナムなど東アジア周辺に、加工調整食品の原料供給のネットワークが形成されてきているなかで、日本は中国産農産物を輸入ゼロにすることは最早できず、地産地消を柱とした総合型農業、水田を基本としてさらに野菜、果物など、土地利用型農業を基礎に新しい段階での耕畜農業をめざすべきだと語りました。

篠原氏は、農業を考える時、農だけでなく日本のあり方、世界を考えることが必要であり、日本は世界の2パーセントの人口で農産物の8パーセントを消費しているとし、フードマイレージ(距離×物量)では世界の半分が日本であると述べ、むしろ現在の日本の消費の在り様について厳しい意見を述べました。
中国の農産物輸出については、世界中がアメリカと同じ生活水準を実現することは不可能であり、農産物の輸出を続けることはないとし、世界のなかで日本は生物資源に着目した、環境保全型農業への転換、「地産地消」「旬産旬消」に徹することだと語りました。

後半の討議では、会場に集まった参加者からの意見も含めて、相対的に見えてきた現在の日本の国のかたちと、これからの日本農業の在り方について限られた時間でしたが、今後深めるべき課題が浮かび上がる論議が交わされ、熱気にあふれた実り多いセミナーとなりました。


21世紀コープ研究センター『第2回経営者セミナー』参考資料

1.日時:2002年2月23日(土) 午後2時から午後5時
2.会場:池袋メトロポリタンプラザ オフィスタワー12階・第二会議室にて
3.テーマ:『中国のWTO加盟とこれからの日本農業 −無農国にならないために−』

講演1.「切り離される食と農をどうつなぐか」
講師:村田 武(むらたたけし)氏(九州大学大学院農学研究院教授)

講演要旨:中国は現在、高度経済成長の中で農業も構造調整を余儀なくされている。WTOへの加入により、農業・食糧のグローバル化の体制に組み込まれ、「東アジア食料供給相互依存地域」が形成されつつある。(写真左)

講演2.「21世紀日本の農業」
講師:篠原 孝(しのはらたかし)氏(農林水産省農林水産政策研究所所長)

講演要旨:輸出入(貿易)を通常の金額ベースでなく重量ベース・移動距離ベースでみると、日本は金額ベース以上の輸入大国。これらは最終的には廃棄物となり環境負荷を与えている。同時に、日本は生物資源大国でもある。これら生物資源を活かした農的循環社会を確立することが日本の生き残る道である。(写真右)


■21世紀コープ研究センター
「21世紀コープ研究センター」は首都圏コープグループのシンクタンク機能として、首都圏コープグループと連携を持つ外郭団体として、グループの持つ様々な可能性を追求し、組合員のくらしに役立つ、社会貢献できる生協の創造に向けた調査・研究・提案を行う研究センターです。21世紀型生協のあり方を追求する21世紀型研究センター(シンク&ドゥ・タンク)を目標にしています。
・「21世紀コープ研究センター」は現在、生産者、協力会社、首都圏コープの会員生協、研究機関など合わせて147団体・個人(2001年10月現在)が会員となっています。